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~ 青い瞳の猫 ~ (絵本風)

ある若い夫婦のお家に子猫が貰われて来ました。



ピンと伸びたお耳と澄んだ青い瞳がご自慢の小さな子猫でした。

子猫は愛情いっぱいに育てられました。





子猫は自分が猫とは知りません。



大きくなったらお母さんみたいに2本足で歩いて、いろんな言葉が話せると信じていました。



今日も子猫は泣いてみます。



『ニャー』





次の日も子猫は泣いてみます。



『ニャー』





毎日、練習してるのに子猫は言葉を話せません。





来る日も来る日も子猫は練習しました。



それでも子猫は言葉を話せませんでした。





いつしか子猫は大人の猫になっていました。



やっぱり猫は言葉を話せません。



歩く時も2本足では歩けません。





猫は不思議でした。



猫は早く大好きなお母さんみたいな大人の人間になりたかったのです。





ある日、猫のお家に赤ちゃんが来ました。



若い夫婦の間に出来た小さな小さな赤ちゃんでした。



赤ちゃんは4本足でも歩けません。



猫は笑いました。



でも、赤ちゃんはすくすく育っていきました。



赤ちゃんはすぐに4本足で歩けるようになりました。



そしてある日赤ちゃんは猫の目の前で2本足で歩き始めました。





猫は自分が人間ではない事に気づきました。



猫は悲しくなりました。



綺麗に澄んだ青い瞳から涙が出てきました。



猫は泣きました。



『ニャー』



その時、お母さんは猫をそっと抱き上げました。



優しく優しくずっと撫でてくれました。



猫は幸せな気持ちになれました。



猫は思いました。



『今までも幸せだったのに何を泣いていたんだろ。』



猫はお母さんに心から『大好き』って言いました。



『ニャー』





猫は言葉を話せません。



でもお母さんは言いました。



『私も大好きよ。』





猫は幸せでした。



ずっとずっと幸せでした。

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( 2009.06.18 ) ( 創作 ) ( COMMENT:4 ) ( TRACKBACK:0 )
~ 西暦4XXX年 ~(フィクション)

『船長!遂に宇宙空間を抜けました!』



我々、人類が太陽系を抜け出す技術を見つけ出したのは3XXX年の事だった。



それから1000年近い年月を経て、今、私達は悲願であった宇宙空間からの脱出を実現したのだった。



背後に見える宇宙空間はアメーバーのように蠢きながら益々肥大化し続けている。



無理も無い。

宇宙空間が光の速度で成長している事が計画を困難にしていた一因だったからだ。







船員達は皆興奮気味だ。



しかし前人未到の宇宙空間の外側だ。油断は出来ない。



我々は注意深く宇宙空間の外側を進んでいった。





『船長!遠くに…遠くに光が見えます!!』



モニターを見つめるレーダー担当技師が興奮しながら叫んだ。



艦内の巨大モニターにその光が映し出される。



その光はまるで我々人類を希望に満ちた未来へ導くかのように輝きに満ちていた。





コンピューターの弾き出した計算によると宇宙空間の外側は光に向かって筒状の空間になっているようだった。





筒の真ん中には巨大な円柱状のものが光の方向へ延々と伸びている。





我々は光の射す出口へと次第に近づいていった。





思えばこんなに明るい光を見るのは久し振りだ。



真っ暗な宇宙空間をずっと旅してきた我々は艦内の灯り程度しか暫く見ていなかったのだ。





“何て眩しいんだ”



誰かが感動したように呟いた。



眩い光に包まれながら、ゆっくりと筒状の空間を抜け出す船体…。





我々の目に飛び込んできたのは…









草原?









…草原なのだ。









とてつもなく広大な空間にとてつもなく巨大な植物が生い茂っている。







私は思わず船の後方を映し出すモニターに目をやった。







そこには…







巨大なネズミと思われる動物が巨大な木の実を頬張っているではないか。





そう。

筒状の空間はそのネズミの毛穴だったのだ…。



巨大な円柱状の物体がネズミの毛である事に気づくまでそう時間はかからなかった。







学生時代に習った事が脳裏に浮かぶ。



毛穴の中でアメーバー状に蠢く物体と言えば…







我々は愕然とせざるを得なかった。







やっとの思いで抜け出した宇宙空間は動物の毛穴に寄生するバクテリアに過ぎなかったのだ…。





“小さ過ぎた…”





誰かがまた呟いた。



しかし今度は溜め息に近い絶望に満ちた声だった。







そう我々はあまりに…



あまりにも小さ過ぎたのだ…。


( 2009.04.22 ) ( 創作 ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:0 )
~ 夢? ~(フィクション)

『私の人生…悪くなかったなぁ。』



その老婆は長い長い人生を振り返りながらベッドの上で一人呟いた。



“今、一つの命の灯火が消えようとしている。”





生まれてからの思い出を一つ一つ噛み締めながら、老婆は穏やかな表情で空(くう)を見つめた。



欲しかった靴を母親にねだって叱られた事、女学校の頃に初めて恋をした事、我が子を初めてこの腕に抱いた事…次から次へと脳裏に浮かんでいく。



穏やかな表情の老婆の頬を一筋の涙が零れ落ちた。





軽く目を閉じ、そのままスーッと息を吐いたかと思うと、もう二度と老婆は息を吸う事はなかった。













……









“その瞬間、目が覚めた。”







…少女はベッドの上にいた。





『確か長い夢を見てた気がするんだけどな…。私がお婆ちゃんでベッドにいて…』





…よく思い出せない。





『ん~……変な夢っ!』





振り切るように言い捨てると少女はいつものように学校に行く支度を始めた。







そして…







また月日は流れ…







少女だった老婆は最後の時を迎えようとしていた。





『私の人生…悪くなかったなぁ。』



その老婆は長い長い人生を振り返りながらベッドの上で一人呟いた。







またベッドの上で目覚めるとも知らずに…。


( 2009.04.22 ) ( 創作 ) ( COMMENT:2 ) ( TRACKBACK:0 )
~ 飼育が楽な動物 ~(フィクション)

その動物が我が家に来たのは一昨年の春の事だった。



娘がペットショップで『欲しい欲しい』と騒ぐので、そんなに高い代物でもなかったその動物を雄と雌のつがいで買ってきたのだった。



その動物は寒さや暑さに弱く室温管理は大変だが、綺麗好きでトイレもすぐに覚えたし比較的飼いやすい。

娘は手のひらに乗せたり散歩に連れて行ったりして可愛がってくれてるようだ。





一時は相当な数まで増えたこの動物もそのひ弱さから気候の変化に対応しきれず絶滅寸前にまで陥った事があるらしい。

ただ、飼育しやすく雄と雌をつがいで飼うとすぐ交尾して子供を産むので最近はペットショップでも普通に見かけるメジャーなペットになる程、数も増えてきたのだ。



明確な発情期が無いらしく、増やしたくない時は雄雌別々に飼わないとならないのがちょっと面倒だが、餌も何でも食べてくれるのが楽で良い。

世話と言えば、時々遊んでやって朝晩に散歩に連れて行く程度で十分だ。

慣れてくると両手を器用に使い手渡しで餌を食べてくれる愛くるしさもある。





この動物が我が家に来てからというもの静かだった我が家が明るくなった。



今夜の夕食時もこの動物の話題で持ち切りだ。





娘が私に聞いてくる。

『ねぇねぇ、どうしてこの動物は絶滅しかけたの?』





私は得意げに答える。

『それはね、この動物には毛が殆ど生えてないだろ?寒さに弱いからだよ。』





また娘が聞いてくる。

『この子たちは何年くらい生きるの?』





『上手に飼えば100年くらいは生きるみたいだよ。』

と教えてあげると、娘はちょっと切なそうな顔をして…





『たった100年しか生きられないのね…可哀想…。』

と目に涙を浮かべている。





私は優しい娘に

『けどね、私達にとってはたった100年でも彼らは私達の2000年分くらい満足してるんだよ。』



娘を抱きかかえ膝の上に乗せながら話して聞かせる。



『こんな小さな小さな生き物でも地球を支配してた事があるんだよ。不思議だよね?昔は我が物顔でこの地球上を歩いていた事があるんだもんね。この人間って動物も…。』



そんな話をすると、決まって娘は尊敬の眼差しで私を見てくれるのである…。


( 2009.04.07 ) ( 創作 ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:0 )
『一つの形』

沢山の思い出が

君を思い出にはさせない

【微光風】


( 2008.06.26 ) ( 創作 ) ( COMMENT:1 ) ( TRACKBACK:0 )